騒音被害の中で騒音についていろいろと調べていくのですが、こんなに勉強することになるなら資格はないのか?とも思い始めました。
また環境計量士と公害防止管理者の違いなどについても見ていきます。
近年騒音問題も大きくなる中、騒音関係の資格を持っていると将来の役にも立つことになりそうです。そんな中どんな資格があるのか、騒音に関する資格を調べました。
環境計量士(騒音・振動関係)
概要
計量士の資格には「環境計量士(濃度関係)」「環境計量士(騒音・振動関係)」「一般計量士」の3つがあります。
その一つである騒音振動関係の計量士は、
プレス、送風機等の騒音源を有する工場や建設工事、道路(自動車)、鉄道、航空機の騒音の測定及び計量管理
『経済産業省』
の業務の資格として存在しています。
似たような資格に『公害防止管理者(騒音・振動関係)』(後で紹介)がありますが、『環境計量士』の方が難易度は上です。その分仕事では優位という意見があります。
資格取得方法
資格 | 不問 |
受験料 | 8,500円の収入印紙を願書に貼付 |
場所 | 北海道(札幌大学)、東北(宮城教育大学)、関東(東京大学 駒場Iキャンパス)、中部(名古屋市立大学 滝子キャンパス)、近畿(大阪経済大学 大隅キャンパス)、中国(広島大学 東広島キャンパス)、四国(四国学院大学)、九州(福岡工業大学)、沖縄(国際電子ビジネス専門学校) (参考:『経済産業省 令和4年度計量士国家試験の試験会場について』 https://www.meti.go.jp/information/license/data/c221111aj.html) |
時期 | 12月 (参考:『経済産業省 計量士』 https://www.meti.go.jp/information/license/c_text07.html) |
※令和4年12月11日の場合
参考
(『経済産業省 令和4年12月(第73回)計量士国家試験』
https://www.meti.go.jp/information/license/data/c220610aj.html)
科目 | 環境関係法規及び物理に関する基礎知識 音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量 計量関係法規 計量管理概論騒音 以上4つ |
合格率 | 18%前後 |
参考
(『日本資格取得支援 環境計量士(濃度関係/騒音・振動関係)』https://jqos.jp/kokka/kankyokeiryoshi)
ただし、国家資格取得したとしても、「資格所持者」であり「計量士」になったわけではなく、正式な計量士になるにはその後いくつかの条件をクリアしなければなりません。詳細は【経済産業省 計量士関係】(https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/20_keiryoushi.html)
本格的な仕事で生かすような測量士になるには、実務経験が必要という事ですね。その第一歩がこの資格。
勉強・書籍
中身を見てみましたが、四分の三くらいが計算式や物理の問題でした。法律系は全体で見ると思ったよりも少ない感じです。
先の「科目」でも見ましたが、物理の計算が出来なければならない問題が多くあります。ちなみに濃度関係の化学の方は大学レベルといいます。
実務経験など不問な資格なので、過去の問題を攻略していく勉強法になるでしょう。ただし、ネットのQ&Aを見ると、実務経験がないと理解が難しいという意見がいくつか出てくるので、難易度は高いです。
※[濃度関係]と間違えないようにしてください。
※出版の比較的新しい書籍を紹介します。ただし、レビューを確認しておいてください。それを見て判断ください。また、一度ご自分でも調べて一通り吟味したうえで参考にしてください。
※全体的に通販では値上げしているようです。定価以上になっています。もし近くに本屋があればそちらに行かれた方がいいと思います。
出版は2021年。
定価:5,170円
出版は2018年
定価:4,180円
公害防止管理者【騒音・振動関係】
概要
国家資格。
『環境計量士』と似たような資格と思われていますが、中身は結構違います。
『環境計量士(騒音・振動関係)』のように建設工事、道路(自動車)、鉄道、航空機の騒音などの計量や管理ですが、『公害防止管理者(騒音・振動関係)』は特定工場の騒音振動の管理者です。
なので、騒音振動の管理の幅がかなり違ってきます。これが『環境計量士』よりも『公害防止管理者』の方が難易度が低いと言われる所以です。
また、この『公害防止管理者』は主に工場内の管理者であるため、『環境計量士』のように環境管理の専門職ではないという点も大きな違いです。
参考『環境省 公害防止管理者法の概要(PDF)』https://www.env.go.jp/air/info/pp_kentou/pem01/ref01.pdf
資格取得方法
受験資格 | 不問 |
受験料 | 8,200円(令和4年度の騒音・振動関係公害防止管理者の場合) |
受験場所 | 全国主要9都市(札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、高松、福岡、那覇) (参考:『一般社団法人産業環境管理協会』https://www.jemai.or.jp/polconman/method/index.html) |
受験時期 | 10月の最初の日曜日 (参考:『経済産業省 公害防止管理者等』https://www.meti.go.jp/information/license/c_text14.html) |
合格率 | 令和4年度 23.9% |
勉強・書籍
ネットのQ&Aでは、『環境計量士』と違って『公害防止管理者』の方は過去問をやれば解ける内容だという事です。
ただ『環境計量士』よりも簡単とはいえど国家資格に変わりはなく、対策教材の本の分厚さも『環境計量士』と変わりません。
また、内容もこれ物理・計算などが基本で、教材本の中身も『環境計量士』と同じく数学の割合が多くを占めています。
※[濃度関係]と間違えないようにしてください。
※出版の比較的新しい書籍を紹介します。ただし、レビューを確認しておいてください。それを見て判断ください。また、一度ご自分でも調べて一通り吟味したうえで参考にしてください。
出版は2023年
定価:4400円
環境騒音・振動測定士初級・上級
概要
何かの業務にあたるために必須の資格というわけではないようですが、騒音関係の資格の一つです。
初級と上級があり、初級の方は誰でも受けられるようですが、上級の方は実務経験3年+初級を持っていないと受けられないようなある意味難易度の高い資格のようです。
上の『環境計量士』や『公害防止管理者』のように具体的な業務に役立つものというよりかは、「できますよ」という証明みたいなものになるのでしょう。
資格取得方法
受験資格 | 初級不問 上級実務経験3年+初級(または技術士・計量士) |
受験料 | 初級7,000円 学生4,000円(令和5年度) 上級15,000円(令和4年度) |
受験場所 | 初級・上級一次試験 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡 上級二次試験 東京 |
受験時期 | 初級6月(令和5年度) 上級は2年に一度で令和5年度は無し |
公式へ『一般社団法人日本環境測定分析境界 環境測定分析士、環境騒音・振動測定士』https://www.jemai.or.jp/polconman/
合格率 | 過去三年 初級71.4~74.2% 上級50~100%(上級は受験者が少ない。令和4年度は一人) |
勉強・書籍
上に書いた『一般社団法人日本環境測定分析境界 環境測定分析士、環境騒音・振動測定士』公式ページに過去問と解説がPDFで載っています。
また、問題集の申込もできます。価格は1,000円ですが、平成発刊の物ばかりです。
資格を持つメリットとデメリット
メリット
仕事で役に立つものが資格。就職でも役に立つ。そういった印象で資格を取ることになると思います。
騒音関係の仕事はいくつかあります。また、間接的に騒音に関係する職種もあります。
【記事】:騒音問題を扱える・知識をつけられる仕事一覧(測量解析・コンサル・司法)
そして、個人的に騒音の場合は仕事に加えて、他にもメリットがあると思っています。
私の場合、騒音被害に悩まされています。
ただの素人が感情任せに苦情を言ったところで相手にされない場合があります。さらに法律、規則、基準なども相手が守ってこない場合、知らない場合があります。そういったときに自分が騒音関係の資格を持っていると、その知識や権威性を生かして騒音相手に苦情を入れることが出来るようになります。何も知らず、何も持っていない状態からの苦情よりは説得力もあがるでしょう。
また騒音問題について語ったり、被害者目線で訴えるような、ユーチューブ・ブログ・SNSでの発信にも、資格を持っていると権威性が上がります。もちろん資格を持っていなくてもリアルな被害や役に立つ方法を発信はできますが、資格持ちだともっと深い、難しい問題にも切り込めるはずです。
デメリット
デメリットとしては、たった今「発信」をテーマに書きましたが、言った通り資格を持っていなくても「リアルな声」という点では、資格を持っていない場合でも十分発信できるという点。資格を取ったからと言って、無資格者に100%勝てるというわけではないでしょう。むしろこういうのは実際に行った対策や抗議、解決法が役に立ちますから、そういった被害者目線の発信ではなく有資格者にしかできない専門家みたいな、客観的なことを発信すればいいかもしれません。
また、騒音計の資格はとにかく難易度が高いでしょう。参考書を見ましたが、分厚いし内容も多い、数学物理、法律と範囲が広い。時間と費用は掛かります。
理工系だった方や数学物理系が得意だった方は強いと思います。ただ苦手な方は結構つらいです。
また、資格を持ったからと言って、すぐにその仕事にありつけるかというとそうではないというのも一つです。実務経験がやはり必要になります。技術系に関してはどんな資格でもそうですから、当然と言えば当然ですが。
「就職」という点では有利になるとは思います。
資格取得には、時間と金のリスクがつきものですが、本気で騒音に対し自分で何かできないかという方は、目指してみてもいい資格だと思います。
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